四国お遍路パート2 番外編
諸行無常
なにがあったのか・・・

なぜこのようなものを頂いたのか

事の発端は44番大宝寺の山門でのこと
通常どこのお寺も山門は敷居と言うのか段差があります
大宝寺の山門は階段になっており、車椅子が自力で越えられる仕組みではありません
私が行きに会ったその人は電動車椅子に乗って山門の前に居ました
周りを見渡してもその人一人です。
ここからは一人では上がれないけどどうすんだろ?

山門までの道のりといえばこんな感じの未舗装の砂利道で結構デコボコしています

仮に山門を乗り切っても本道へは階段が待っています
が、そのときは特に気にもせず本堂の写真を撮るべく先に進んでいきました
そして参拝・写真撮影も終わり山門まで戻ってきたとき、ちょっと先ほどのことが気になって周りを見てみましたが誰も居ません
「帰ったんだ・・・でも道のりは悪いし良く帰れたな」位に思ってました
しばらく山門付近で写真を撮って帰ろうと下りだしたら

車椅子が倒れた状態で見えました
乗ってたおじさんがおらん
「向こう側か?」
すぐに駆け寄って、まず車椅子を起こします
そしておじさんを車椅子に・・・結構体重が有りそうな感じ
周りを見回しても誰も来そうにありません
力を振り絞っておじさんを抱きかかえ車椅子まで戻します
電動車椅子の仕様からするとどうやら自由が利くのは腕一本だけのようです
それから車椅子を倒れないように後ろ向きにして砂利道の坂道を下らせて
やっと舗装されたところまで戻って来ました

「ここで大丈夫ですか?」
おじさんは何も言わずに電動車椅子で進み出したので
「まぁいいか大丈夫そうだし」
と思い自分が車を止めた駐車場へ戻りました

さて次はどこの寺に行こうか、それとも四国カルストか?
と車の中で考えていたら
「コンコン」ガラスをノックする音
見ると知らないおばちゃん
「はい?」
「先ほどは主人を助けてくれてありがとうございました」
?・・・!!
あ、先ほどのおじさんの奥さんでした
どうやら奥さんが参拝している間におじさんが一人で上がっていったみたいです
車を見ると軽ワゴンは車椅子積載に改造されたものでした
いっしょにお遍路を回っている話を聞き、さっきのお礼としてジュースを頂きました
!?・・・ジュースの裏に1000円札がいっしょに握られていました
「いえいえお金なんていいですよ」
「いえいえどうもありがとうございました」とちょっと涙目になっていたのでありがたく受け取りました
そして夫婦の乗った軽自動車を見送った後も考えていました
ああやって旦那のために夫婦でお遍路を回っていくのか・・・
もし同じ立場だったらどうだろう?
自分にできるでしょうか?妻はしてくれるでしょうか?
その時になってみないと分かりません
そのときふっと思いました
あの夫婦は未来の自分たちだと
これからの自分のことを見直すきっかけに会わせてくれたんだと
そんなことをぼんやり考えながら次の場所へと向かいました
そんなことがありました
楽しいことばかりじゃないけど四国には何かがあります。